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  • 大井駿

ブーレーズ: デリーヴ 1

“Dérive(dériver)”というのはフランス語で「漂流する、成り行きに任せる」、そして「派生する、引用する」という言葉から来ています。それぞれの楽器がふわふわと漂流しているようなこの曲の中で、曲の根幹をなす引用がなされているのです。

ブーレーズと大変親しかった指揮者、作曲家であるパウル・ザッハー(Paul Sacher)の名前をそのまま音名に直し、それをしつこく用いることによって独特の響きを生み出すことを試みました。(S→ミ♭/Es、A→ラ、C→ド、H→シ、E→ミ、R→レ/Ré)


編成はシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」を踏襲したフルート、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノの編成にヴィブラフォンが加わっています。(ピエロ編成とも呼ばれ、現代音楽の楽器編成で最もよく使われる編成の一つです。)


今回は演奏されませんが、続く「デリーヴ 2」はエリオット・カーター、ジョルジ・リゲティを意識して書かれ、着想から20年の年月をかけて作曲されました。編成は「デリーヴ 1」よりも大規模なり、演奏時間も5倍ほどに拡大されています。



  • 曲の構成

シンプルな三部形式。

曲の始まりはピアノのSACHER音列のアルペジオによって幕を開けます。

様々な楽器が素早い装飾音やトリルを挟みながら、SACHER音列のハーモニーを保持します。全ての楽器のテンションが最高潮に達したところで突然の静けさが訪れ、中間部に入ります。


中間部では動きが停滞し、ピアノが少しずつ低音から動き始めます。クラリネットがメロディーラインを先導し、ピアノがそれを追うような形でのエコーが行われます。テンポが少しずつ広がり、動きが増したところで、次はヴィブラフォンとヴァイオリン、フルートとクラリネットによるエコーが行われます。それに伴ってテンポも少しずつ回復し、終結部に開始時のテンポに戻ります。


ピアノとヴィブラフォンが浮遊するような動きをしますが、終結部の初めから終わりまでフルート、クラリネット、ヴァイオリン、チェロがSACHER音列のハーモニーを保ち続け、消えてゆくようなハーモニーの連打で幕を閉じます。


©️2016 Shun Oi

© 2018 by Shun Oi

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