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  • 大井駿

F.A.E. ソナタより スケルツォ ハ短調

Frei Aber Einsam

(自由、しかし孤独に)



北ドイツの港町ハンブルクで生まれ育ち、アルバイトをしながら日々を過ごしていた10代半ばのブラームスは、当時名を馳せていた作曲家ロベルト・シューマンのもとで勉強することを夢見て、何度もコンタクトを試みました。しかし家を訪ねても門前払いされたり、自作曲を同封した封筒を送っても未開封のまま送り返されたりと全く相手にされなかったのです。切ないですね…。

傷心状態のブラームスはシューマンのお近づきになることを諦めていましたが、20歳になった時に友人ヨゼフ・ヨアヒムに唆されてシューマン家を訪問します。元々シューマンとも友達だったヨアヒムが紹介状を渡したことでブラームスは家へ招き入れてもらえたそうですが、シューマンはブラームスの自作曲の演奏を大変気に入りました。以降師弟関係に発展しますが、残念ながら既に精神障害が重くなっていたシューマンは翌年自殺未遂し精神病院へ入院、結局3年後に46歳という若さで死去し、その関係は長く続くことはありませんでした。



ところで、FAEソナタの"FAE"とはヨゼフ・ヨアヒムがモットーとしていた

Frei aber einsam (自由、しかし孤独に)

の頭文字を取ったもので、ヨアヒムに作曲者当てクイズをさせる目的で3人の作曲家が共作ソナタとして書きました。第1楽章をディートリヒ、第2,4楽章をシューマン、そして一番年下だったブラームスが一番短い第3楽章を作曲しました。

典型的な3部形式で書かれ、中間部はト長調へと転調、ヴァイオリンの伸びやかに歌います。ブラームスは自宅にいつもビスマルクとベートーヴェンの像を飾っていたほどのベートーヴェン好きでしたが、その影響は曲中にも表れています。ベートーヴェンの運命の出だしのリズム「運命の動機」から始まり、そのリズムは終始曲を支配し、執拗に主張します。曲の力強さもどこかベートーヴェンを感じさせるものとなっています。


©️2017 Shun Oi

© 2018 by Shun Oi

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